ワインのさまざまなブドウ品種

ワインのブドウ品種について

ワインにはさまざまな性格があります。

ワインの味を想像するとき、最大の決め手となるのは品種による味わいの違いです。もちろん同じ品種であっても産地の土壌や醸造方法、造り手によって味わいに差がでるものですが、基本的な味のスタイルは共通しています。 世界にはワイン醸造用として800種以上のブドウ品種が栽培されています。その土地でしか造られていない独自の品種もありますが、ここでは私たちがよく目にすることのできるワインの代表的な五つのブドウ品種を挙げてみます。

シャルドネ(Chardonnay)

白ワイン用のブドウの中でもっともポピュラーな品種といってよいでしょう。普通ワインの色は薄い藁色で、熟成するにしたがって濃い黄色、または金色に近くなっていきます。フランス、ブルゴーニュ地方産がもっとも有名ですが、イタリアでも古くから栽培に成功しており、またカリフォルニアでは優良なワインが多く造られている品種といえます。辛口でアルコール度数も高く、本来はフレッシュな酸と白い果実を思わせるフルーティーな香り(西洋ナシ、白桃、リンゴなどの香り)が特徴で樽の熟成によってボリューム感のある味わいに仕立てられるとリッチな味わいになります。

ソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)

シャルドネと比べるとやや青みくさい香りが特徴の白ワインになります。爽やかでミネラル感のある味わいです。草原の中にいるような爽やかな空気を思わせる香り、ハーブ(香草)の香りが一般的ですが、時には雄猫のおしっこと表現される特徴もあります。フランスでは主にロワール地方とボルドー地方で造られていますし、またイタリアでは北から南まで各地で造られており、その地方の特徴が反映したワインになります。カリフォルニアでは別名フュメ・ブランと呼ばれ、その名のとおりスモークしたような香りが特徴です。 いずれも樽を使わずすっきりとした味わいに仕立てる場合と、樽熟成させて濃厚な味わいにする場合とがあります。

カベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)

赤ワイン用として代表的なワインはボルドー地方で造られるシャトーもの、と言えばわかりやすいでしょう。実際ボルドー地方ではメルロー種やカベルネ・フラン種などとブレンドされて造ら れていますが、カリフォルニアでは85%以上使われていなければ、カベルネ・ソーヴィニヨンとは表記できないきまりになっており、100%使用という造り手も少なくありません。 大抵濃く紫がかったルビー色をしていて熟成するにしたがってレンガ色に変化します。 カシス、ラズベリー、ミント、ユーカリなどの香りが主ですが、樽熟成されたものにはヴァニラの香りがつくことがあります。 タンニン(渋み成分)が豊富で若いうちは酒質が硬くしっかりとした味わいです。また長期熟成にもっとも向くタイプで味わいの寿命は30~40年というものも少なくありません。 熟成によってしだいにエレガントな味わいに変化するところが魅力です。

メルロー(Merlot)

カベルネ・ソーヴィニヨン同様ボルドーワインとして有名な品種ですが、各国で生産されており、早期に熟成し、ふくよかな魅力を持つ品種です。単一品種として使用される場合と他品種とブレンドされて使用される場合があります。カベルネ系とほとんど同じ色をもち、ブラックチェリーやスパイスの香りが代表的です。香り、味わい共にカベルネ・ソーヴィニヨンよりやや柔軟でまろやかな特徴がありますので、他品種とブレンドされる場合丸みや柔らかさを出すために、ブレンドされることもあります。

 ピノ・ノワール(Pinot Noir)

ブルゴーニュ地方産銘醸ワインに代表される品種で、ほとんどが単一で使用されます。カリフォルニア、中部イタリアなどでも高品質なピノ・ノワールが生産されています。繊細な酸とタンニンで構成され造り手の手腕が反映されるのが特徴です。ワインは透明感のあるルビー色でチェリー、プラム、ベリー(赤い実の果実)の香りがしますが、熟成がうまくすすむと艶のあるレンガ色に変化し、なめし皮やトリュフの香りがして、官能的な魅力が開いてきます。 

世界で高く評価されるワインは必ずといってよいほど、土壌や気候などの環境的要因を背景にブドウ品種の持つ個性を最大限表現しています。それは、長い歴史の中で淘汰されていくうちに、造り手に選択されたその土地の畑にもっとも合ったブドウ品種が、毎日気を抜くことなく栽培され、可能な限り最良の条件のもとで醸造された結果であり、それ故にそのすべてに個性があるのです。

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